2015年5月30日土曜日

「バーネット・ニューマン 十字架の道行き」 そして「曽我蕭白 富士三保図屏風と日本美術の愉悦」

滋賀県のMIHO MUSEUM 2015.3.14 - 6.7開催の2つの企画展
「バーネット・ニューマン 十字架の道行き」
そして「曽我蕭白 富士三保図屏風と日本美術の愉悦」
対極をなす作品達が私の感情を大いに揺さぶる。

バーネット・ニューマンは、アメリカ抽象表現主義の中核的存在の作家だ。
「なぜ我を見捨て給う」という十字架上のキリストの言葉が副題に付く「十字架の道行き」は
8年の歳月を費やした14の連作、そして「存在せよⅡ」と合わせた15の作品が並ぶ。

塗り込まれた白いキャンバスの下地。色彩を持たず、極限に削ぎ落とされた抽象表現、
閉鎖的で小さな変形の部屋の中で、静かで激しい作品に対峙し「もう誤魔化せないぞ」と心が叫ぶ。
後回しにしていた宿題が、今日目の前に現れたようだ。


他方、「曽我蕭白 富士三保図屏風と日本美術の愉悦」は、大小様々な絵や焼き物を、
’日本美術の愉悦’という括りで紹介している。
肩の力の抜けた、自然に微笑みたくなる物たちだ。

曽我蕭白の富士三保図屏風は、虹がかかった景色がちょっと不思議で楽しい。
尾形光琳の大黒天の顔が可愛い。

とりわけ、6-7世紀古墳時代の振り向いた顔の埴輪犬が、愛らしい。
思わずこの犬のご主人の人柄にまで、思いを馳せる。
大きな屏風から、小さな粉引盃に至るまで、自分が日本人である事が腑に落ちる、そんな展覧会だ。


宿題を思い出したり、遥か彼方のご先祖様の時代にタイムスリップして、クスクス笑ったり、そんな一日だった。